私の大好きなネパール人

私が学生の頃にバイトしていたインド料理屋さんのコックをしていたネパール人のバブラムさんという方の話をします。








バブラムさんは全く日本語がしゃべれなくて、私はネパール語も英語もしゃべれなくて、バイトをしていた3年間会話という会話はなかったけどいつもジェスチャーでたのしくコミュニケーションをとっていました。







でもそのうち簡単な日本語を言ってくれるようになって、

「げんき～？」
「おいしい～？」
って話してくれるようになって。
私もほかのネパール人スタッフに簡単なネパール語は教えてもらって、それでもコミュニケーションはほとんどがジェスチャーでしたけど。







髪の毛の色とかピアスとかつけててもOkで（ものすごい規則が緩い。ネパール人は赤ちゃんの頃からピアス開けてたりするから気にしないんだと思う。流石に垂れてるピアスとかはNGだったけど）、よくピアスとか変えたりしてバイトに行くと必ずバブラムさんは気づいてくれて。








私のこと指さして、そのあと自分の耳たぶ指して、(`･ω･´)bってやりながら「かわいいね」って絶対に言ってくれる。

新しいピアスに変えるたんびに絶対に褒めてくれて。
髪の毛の色を変えたり、メイクを変えたりしても絶対にジェスチャーで伝えてほめてくれる。




おかげでバイトしてた頃の私自己肯定感爆上げでした（笑）




小さなことでもほめてくれるんですもん。
すごいうれしいですよね。




だから私もそれからは見習って、ほかの人には小さいことでも褒めるよう意識するようになりました。
そうしてると友達とかも褒めてきてくれることが多くなるんですよ（笑）
お互いハッピーです（笑）







それと昔の記事にも書いたんですけど、出勤直後に絶対にチャイを作ってくれてたんです。
これから働くぞって時に。


私が着替えてるときに作ってくれてて、
荷物を置いてさあ働くぞ～って時に、
「はい。飲んで。」って。


え、今から働かないとなのに？って最初戸惑ってたら、ホールのネパール人スタッフに
「冷めちゃうからゆっくり飲みな～こっちは大丈夫だから～」って。



え～、、、
そんなことある～？って思いながら飲みましたね最初。（笑）




私もともと紅茶好きじゃなくて。
最初チャイ飲んだ時もおいしいとは思わなかったんだけど、
出勤するたびに絶対にバブラムさんがチャイを作ってくれて毎回飲んでたらいつの間にかだいすきになりました。





もはやチャイを飲まないと仕事を始められない。
（今は毎朝クリシュナさんが作ってくれます。とてもありがたいです。）





お言葉に甘えていつも5分くらいゆっくりケータイ見ながらチャイ飲んでた（笑）
（流石にお客さんたくさんで忙しい時は暇を見つけて飲んでたよ！笑）
ゆるゆるバイトですね。




今でも紅茶はそんなに好きじゃないけどチャイだけは好き。












あとね、バブラムさんの作る料理ほんとうにすっごいおいしくて。
私ネギ系好きじゃなくて食べられなかったんです。
玉ねぎとかピーマンとか。
でもチキンチリにピーマンとか玉ねぎ大量に入ってるんだけど、お店の料理を一通り食べときたかったから、いやいや食べたらおいしくて感動した。


え、めっちゃおいしい！ネギ食べれる！！！
ってなってバブラムさんのおかげでネギ克服した。



あと純粋にカレーがめちゃくちゃおいしい。
どのカレー食べてもほんとうに、すっごくおいしい。




3年間週3でバブラムさんのカレーをまかないで食べ続けてきたけど飽きたことがないし、なんならバイトない日に友達と食べに行っちゃうくらいには本当においしくてだいすき。





だから常連さんもめちゃくちゃ多かった。




毎週水曜日のランチにマトンカレー中辛を食べに来る方、
月に数回ランチでサラダのドレッシング抜きにするお姉さん、
日曜日の夜に毎週来てくれたカップル。
近所のファミリーに、シングルマザーの気さくなお姉さん。
9時以降にきてゆっくりお酒を飲みながらつまみを食べて〆にカレーを食べるカップル。



3年間働いてたのでたくさんの常連さんと仲良くなりましたし、ずーっと通ってくれてました。
それも全部バブラムさんの作る料理がおいしいからですね。




いつもおいしいね～って言ってくれるから、私が作ってるわけじゃないのに私まで嬉しくなっちゃって、おいしいですよね～！私もだいすきです！って毎回言ってた。





お客さんからおいしいねって言われたらそれをバブラムさんにも毎回伝えに行ってたんだけど、いっつもニコニコしてよかったって言うのがまたかわいくて。





なによりも嬉しかった思い出は、毎週末来てくれてたカップルさんが結婚して。
わ～おめでとうございます～！ってなって少ししたら全然見かけなくなって。


すごい久しぶりに来店してくれたと思ったら赤ちゃんを抱いてて。


「妊娠中はなかなかこれなくて、やっと来れました～」って言われたのがものすごくうれしかった。
その時はまだベビちゃんで外食は大変だからとテイクアウトして行ってくれたけど、
「この子が大きくなったら3人で食べにきます。」
って言ってくれて。


それから少しして私バイト辞めちゃったから会えずじまいなのが心残り。
そのお子さんも今はもう小学生とかなんだろうな。
会いたかったなあ。




すごい愛されてるお店ですよね。
みなさん毎週のように来てくれてたから。
それだけほんとうにバブラムさんの作るカレーがおいしい。





1回食べるとふとした時にまた食べたくなるんだもん。
ハニーチーズナンがこれまたとんでもなくおいしいのだ。






あとね、私すっごく感謝してるのが、食べ残しをしなくなったこと。
どんなにお腹空いてても自分のお腹のキャパを考えて注文するようになりました。


ナンってけっこうお腹にたまるじゃないですか。
でもみんなお腹ペコペコでくるからいっぱい頼んで、食べきれなくて、食べ残しがけっこう多かったんですね。



食べ残しをゴミ箱に捨てるとき、バブラムさんがすごい悲しそうな顔をして
「おいしくなかった？」って。



その顔みてたら私まで悲しくなってきちゃって。
ちがうよ！すごくおいしかったけどおなかいっぱいになっちゃっただけだよ！！！
って言ったけど、伝わってなかっただろうな～。


それからは捨てるとき紙で見えないようにとか、バブラムさんが見てないときにさっと捨てるようにしてた。





注文受けるときに明らかに頼みすぎだな～～～って思ったらすごい余計なお世話だけど「けっこうナンがお腹いっぱいになるので、追加注文で頼まれるのもいいかもしれないですね～」とやんわり言って量を減らしてもらうこともあったな。（笑）





まれに本当にものすごく食べる方もいるからそんな頻繁に言ってたわけじゃないですけどね。






その出来事があってから私も自分のお腹のキャパシティをちゃんと把握してどんなにお腹すいててもたくさん注文することもなくなったし、もし足りなかったら追加で頼めばいいんだしで、食べ残しはほとんどしなくなりました。




あんまりお米をいっぱい食べられないから定食屋さんとかに行っても絶対ご飯少な目にしてもらうし、特に個人経営のお店では絶対に残さないって心に決めてる（笑）




一生懸命作ってくれてるんだなって思うから。
バブラムさんのあのすごい悲しそうな顔が頭から離れないんですもん。

食べ残ししないと食品ロスにもつながりますしね。
いいことだ！














とってもおいしいカレーをつくるおちゃめでかわいいバブラムさんが去年新型コロナウイルスで亡くなりました。












去年いろいろあってお店を辞めて、ネパールに帰るってことになり、急だったから会えないままネパールに行っちゃって。






私バブラムさんのカレーがだいすきだから、バブラムさんのカレーはなくしちゃだめだと思って、社長にバブラムさんのお店出してほしいです。ってお願いしたら良い空き店舗があったらいいよって言ってくれたから、近場で空き店舗探して。










バブラムさんが日本帰ってきたら絶対お店ださないとって思ってたんだけど、
ネパールに帰省中バブラムさんのお父さんがコロナにかかり、すぐ後にバブラムさんもコロナにかかり二人ともあっという間に旅立ったそうです。








もともとバブラムさん持病があったから、早かったのかな。
知らせを聞いたとき、信じられなくて、あとから思い出がばーっと蘇ってきて、ああ、もうあの笑顔に会えないんだ、バブラムさんのカレー食べられないんだと思ったら涙が止まらなくて。











日本にいてくれてたら、何か違ったのかな。
日本にいてほしかったな。
そしたらコロナにならなかったのかもしれないのになんて考えちゃうけど、最後は母国でみんなに囲まれて最期を迎えられたからそれはそれでよかったのかな。とも思って。









バブラムさんのおかげでインドカレーがすごいおいしいと思えたし、
ずっとバイトしてたおかげで今の会社に就職することができたし、
ねぎを克服できたし、
たくさんの常連のお客さんと仲良くできて、
食べ残しもしなくなったし、
たくさん、ほんとうにたくさんのことを私の人生に与えてくれた人です。




バブラムさんに出会えてよかった。




すごくおいしい料理を3年間毎週食べられてとってもしあわせでした。
バイト辞めてからは絶対に月1で食べに行ってたけど、もっと行けばよかったなあ。







おいしいカレーを日本で作り続けてくれてありがとう。

身体の不調がありながらもがんばってくれてありがとう。
そっちでは毎日たのしく過ごせてるといいな。

私も何年後かわからないけれど、バブラムさんと同じところに行ったら真っ先に会いに行くね。
そしたらバブラムさんが作ったカレー食べさせてね。





ほんとうに、感謝の言葉しか見当たらない。

絶対日本人で一番、バブラムさんのカレーを食べた自信があるし、
一番バブラムさんのカレーがだいすきな自信がある。



バブラムさんの作るカレーが好きすぎて、いまだにバブラムさんのカレー以上においしいと思えるカレー屋さんに出会えてないんだよ。







世界で一番おいしいと思えるカレーに出会えて世界一の幸せ者です。
ほんとうにありがとう。

長々と読んでいただきありがとうございました。

日本にたくさんネパール人がいるけれど、バブラムさんほどの腕を持った人はほんの一握りで、慣れない土地で毎日おいしいカレーを一生懸命作ってがんばっていたネパール人がいたんだよということを知ってほしくて書きました。






誰かの心に少しでも残ってくれたらうれしいです。